『人間て腐るの?』

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びっくりするタイトルかもしれない、人間て腐ります。

これは、15年以上前、看護師と、薬剤師のカップルに同時に言われた言葉である。

何かというと、その当時、インドネシアに大津波があって、夏になっても海岸に沢山のご遺体が打ち付けられていて、そのまま放置されてていて、夏だから腐敗しており、遺体の身元確認が困難を極めている、というニュースについて、彼女たちに、話した時のことだ。

『腐ってしまって、身元確認が難航してるんだよね、かわいそうに、、』と言ったら、そのように返されたのだ。

彼女たちがびっくりする以上に私がびっくりした。

私は生物資源科学部の学位、(簡単にいうと農学部)の学位を持っているので、『あらゆる生き物は動物や虫や、微生物によって分解され、土に還り、循環するというエコシステムがこの地球上に存在するのは常識だ。』

彼らは、エコシステムを学んでないから、そんなびっくりするような言葉が出るのだろうか?

びっくり度合いは、例えば、、

最近の子どもたちは、お魚を切り身でしか見たことがないので、お魚は切り身状態で泳ぐんだと思った子どもがいるらしいと聞いたことがある。

とか

アメリカで電子レンジを作る会社が訴えられた。子どもがネコをお風呂に入れ、濡れてしまったその猫を乾かそうと思い、電子レンジにかけた。訴えの主な主張は、どうやら、ネコを電子レンジに入れるなと注意書をしなかった、電レンジ会社が悪い。

え?

という感じである。

いやいや、ちょっと待て、このエコシステムについては高校くらいで習ってるはずだぞ?

高校で理系だった彼、彼女は、生物という視点からの循環は知らなくても、少なくとも化学という意味での循環(炭素の循環とか)は知ってるはずである。

私は『人間て腐るの?』と聞かれたため、人も突き詰めていけば、分子や原子になること、そもそも人間の組織はタンパク質や脂肪などでできていて、その辺りにいる動物たちと同じこと、人間が腐らなかったら土葬の国(明治時代くらいまで日本も土葬が一般的)は、ご遺体で埋まるじゃないか。というようなことを話した。

そりゃあそうだよね!という答えを期待していたが、まだふに落ちていないようだった。

彼女たちは私よりも偏差値の高い高校へ行き、薬剤師の彼に至っては当然私より偏差値の高い大学をでているから、世間一般的な基準で言うと、『頭は良い』はずである。

しみじみと、この人たちは、きっと、受験というテクニックについて、最適化した人なんだなー、と感じ入った。

理科なんて大嫌いという、現在75歳の母も、それを聞いた当時びっくりしていた。

今でも我が家では語り草になっている。(友人よ、ごめん!)

なんで急に15年以上も前の出来事を思い出したかというと、苫米地英人さんのゲシュタルトについて解説された本を読んだからである。

苫米地英人さんはちょっとすごすぎて、雲の上みたいな感じ、異空間にいる人という印象をうける、でも至って、言ってることはおもしろく、興味深い。

苫米地英人さんがよく使う言葉で『抽象度を上げる』というものがある。

『人間、ヒト、ホモ・サピエンスは、ざっくりいうと、霊長目であり、哺乳類、脊椎動物であり、多細胞生物であり、結局は生物なのだ。』

生物は全て有機物からできているので、全て、植物の成長に使えるような無機物に分解される

だから人間も腐るに決まってるでしょ

というわたしの理解は、文字列の左から右へ向かって、カテゴリーが大きくなっているので抽象度が上がっているのである。

おそらく彼女たちは目の前の患者さんや、処方箋に対しての処理能力は高いのだと思う。当たり前だ、訓練を受けているわけだから。

だが、世界全体を理解する、という発想はあまりなかったのかもしれない。

私は小さい時から、物事の全体を見たがった。それを見るのが喜びだった。大人になってもそれは変わらない。

全体を見たい、とはつまり、抽象度の高い視点から物を見たかったんだなー、とわかった。

だからなんだ?というオチが何にもない文章になったけれど、具体的なことだけに最適化されちゃうと、こういう時代は判断がつきづらいね、ということなのでした。

はい、もう会社に着くので、このブログも終わりにします。

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